0歳からの子連れ登山の始め方【行動時間の決め方編】

行動時間のアイキャッチ アウトドア

この記事はこういった人に向けて書かれています

ベビーキャリアを使用した登山計画の立て方で悩んでいる人

子供を背負った状態でどれぐらい行動時間が変わるのか悩んでいる人

自分の実績としては高校時代山岳部に所属し、

競技登山の種目でインターハイ出場経験があります。

卒業してからも登山は続けており、子供が生まれてからも継続しています。

子連れ残自体の登山経験は数十回行っています。

先日、0歳から子連れ登山に連れて行っていた娘が10歳になりました

いざ子供子連れ登山をしようと思い立っても、普段のように登れないと思います。

実際に登るとなるとどれぐらいの時間を見越したほうが良いのか。

登山の行動時間の決め方を記事にしました。

結論:実際に自分がやってきた行動時間の決め方は下記のとおりです。

下山時刻=日没から3時間前ぐらいを基準
行動計画=行動時間45~60分+休憩10分の繰り返し(初回の休憩のみ行動開始後30分でとる)

下山時刻を決めておく

家に帰るまでが遠足と教わった世代ではありますが、あながち間違ってないように思います。

目的地も楽しいですが、一番ワクワクしているのは行く道中です。いや計画中かな?異論は認めます。

私も何回か

【行く山の山頂を決めて、下山道を決めていない】

これをやってしまった事があります。

同じ登山道を往復するのならともかく、下山に違う登山道を使う周回コースにしてしまうと

下山ルートが荒れていて使えない

思ったより悪路で時間がかかってしまう』等のリスクが高くなります。

登山の行動予定は下山時刻を設定することから始めるようにしています。

下山時刻の決め方【日没の3時間以上前】

日没の3時間以上前を基準にする

日が暮れると『道迷い』『怪我』『低体温』等のリスクがめちゃくちゃ上がります。

なので日没までに下山をするのが基本的な考え方です。

日没時刻は調べると簡単にわかるので、時期に合わせて変更します。

10月だとだいたい17時30分ぐらいが日没なので14時30分ごろを下山予定時刻とします。

かなり余裕を持ったように見えますが、

なにかアクシデント起こっても日没までに降りてこれるという状態にしておくことが大事です。

また、意外と山の中では薄暗くなってくるのが早いです。

場所にもよりますが、東側(太陽が沈む逆側)の谷ルートだと

日没の時刻よりかなり早く薄暗くなってきます。

薄暗さは焦りを生んでしまうので、

日没までに絶対に戻らなくてないけない』という謎の意識が芽生え

判断ミスや怪我に繋がるように思えます。

行動時間について

実際に行動する時間を想定して、計画を立てる必要があります。

ガイドマップや登山地図を参考にするのも良いのですが

そこに載っているコースタイムは誰を基準にしたものか把握したほうがいいと思います。

ガイドマップや登山地図のコースタイムについて

ガイドマップや登山用の地図に乗っているコースタイムを参考に

計画を立てるのはとても便利ですし、大きな問題になることは少ないです。

ただ、そのコースタイムは誰を想定して書いてあるのか

把握している人はあまりいないのではないでしょうか。

例えば『山と高原地図』に記載してあるコースタイムの基準は

  • 40~50代の登山経験者
  • 2~5人のパーティー
  • 夏山晴天時
  • 山小屋宿泊装備
  • 休憩時間は入れてない

となっており、地域や発行された年代により基準もバラバラです。

ガイドマップや登山用の地図はとても良いものですが、

それを100%頼ってしまって、実際に山に行ってみると

『計画より行動時間が長くなってしまい、焦った事による間違った判断や怪我をしてしまう』

というようなことが起こるかもしれません。

その為にも単純なコースタイム通りではなく、

自分なりの行動予定を立てるのが大切です。

コースタイムから遅いから弱い、早いから偉いというものではありません。

荷物を持った状態での行動時間の計算方法

通常の成人は空身の状態で1時間あたり300mほど標高差を登ることができると言われています。

通常の成人男性とは?
女性ならどうなるのか?
ベビーキャリアを持った状態ならどうなのか???
冬季テント泊縦走装備で標高差300mなんて死ぬ気で登っても全然無理や。

と考えた時期が私もありました。

そんな中『山を登る前に読む本』に出会って、答えと出会ったような気がしたので紹介します。

この本で大事だと言われているのが最大酸素消費量であり、これが個人により変わってきます。

実際に測定する方法もありますが、厚生労働省のデータに基準値があったので下記に表記します。

健康づくりのための性・年代別の最大酸素摂取量の基準値(ml/kg/分

年齢 男性 女性
20代 40 33
30代 38 32
40代 37 31
50代 34 29
60代 33 28

※厚生労働省 健康づくりのための運動基準2006より引用

20代の男性だと最大酸素摂取量の基準が40ml/kg/分ということを示しています。

次の表が『山を登る前に読む本』から抜粋したものとなります。

 

個人の最大酸素消費量と高度獲得速度(m/h)の関係

最大酸素消費量(ml/kg/分) 荷重(%体重)
0% 10% 20% 30% 40%
10 75 68 60 53 45
20 150 135 120 105 90
30 225 203 180 158 135
40 300 270 240 210 180
50 375 338 330 263 225
60 450 405 360 315 270

山を登る前に読む本 p56より引用

上記の表、赤文字で300と表記されてる箇所が

最大酸素消費量40の人が空身(荷重0%)ややきついと感じる速度で登山した場合

1時間あたり300m登れると言うことを表記しています。

※ややきついと感じる速度=ボルグ指数13~14 (これについては別で紹介します)

同じくベビーキャリアでの登山を想定して

荷物+子供体重で14kgの荷物を担ぐと想定

体重70kg、20代男性場合だと荷重が20%となるので

1時間あたりに240m登れるということになります。

個人により最大酸素摂取量は違ってくるので

あくまで、

「荷物を持った場合、空身の状態よりどれぐらい登りの速度が落ちるか」

というぐらいの参考値と考えるのが良いと思います。

また、大事なのがこの予定時間は

子供が0歳ぐらいでずっと背負われている状態

を想定しています。

自分の意志が芽生えてくると、歩きたいとかお菓子食べたいとか

すごく楽しいですし、もっと時間がかかります。

行動時間を決める

1時間あたりに登れる標高差の基準がわかったら

登りの時間、休憩時間、下りの時間を設定します。

登りの時間は先程の計算式でだいたい基準ができていると思いますので

休憩のタイミングと下りの時間を決めます。

休憩のタイミング

行動を開始直後は30分で1回

その後は45分~60分に1回休憩を取るようにするようにします。

休憩時間は1回10分で計画を立てると良いです。

自分の子連れ登山のスタイルは山頂に登りに行く、いわゆる「ピークハント」では無かった為

お昼休憩は長めに1時間ほどとり、食事を楽しんでいました。

休憩で食べるべき物やお昼ごはんについては、また別でまとめようと思います。

下りの時間

基本的には登りより時間がかかることは少ないので

同じだけの時間を見越しておけばよほど問題はないと思います。

「山を登るのは体力が必要」

「山を下るのは技術が必要」

そういったことを現役山岳部時代に教わったような記憶あります。

あながち間違いでは無いと思っていて、慣れてくると早く下れるようになります。

ただ、山で起こる事故(怪我や道迷い)のほとんどが下りで起こっていると言われており

確実にゆっくりと下ることが大切です。

これについても別途まとめようと思います。

行動計画の例

ざっくりとですが、下記のとおりです。

(例)
登山開始8:30
→9:00休憩9:10
→10:00休憩10:10
→11:00昼休憩(目的地)12:00
→13:00休憩13:10
→14:10登山口到着

登り時間:2時間10分
休憩時間:1時間30分
下り時間:2時間00分
合計:4時間40分
標高差:480m

だいたいこんな計画になりますが、
情報が不足していたり、慣れていなければこの時間に1.1倍を掛けて余裕をもたすこともあります。


最初は計画通に行かない事が多いので、何度も繰り返して修正していくことが大事だと思います。

まとめ

  • 日没の3時間以上前を下山時刻に設定する
  • 20代70kgの一般的な体力がある男性で14kg(子供+荷物)持っている状態で1時間あたり240m登れる
  • 初回は30分に1回10分休憩を取る、その後は45~60分に一回のタイミングで休憩を想定する
  • 場合にもよるがお昼休憩は1時間ほど想定する
  • 下山は登りより長くなることはあまりない。
  • 休憩時以外、子供はベビーキャリアに載っている想定

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