Vベルトが原因で稲作の危機!?
その日は、月の後半から続いた長雨がやっと降り止み、盆を過ぎたとは思えない暑さだった。
慣れた手付きで、脱穀した籾を軽トラから乾燥機に移す作業を行っていた。
乾燥機に籾を入れるのは、収穫した実績を体感できるので、見ていてなかなか気分が良い
いつもなら乾燥機の小窓に溜まっていく籾が見えるのだが、今回はなかなか貯まらない。
おかしいと思い、機械を止める。原因はすぐに分かった。
穀物乾燥機の張り込み用スクリューが動かなかった。
張り込みとは、収穫した籾を乾燥機に入れる作業の事であり
これをしないことには『刈り取り』『籾摺り』が出来ず、作業が完全に止まってしまう。
稲から米になるまでのざっくりとした工程
1、刈り取り
状態:稲
機械:コンバイン
田んぼから稲穂を刈る
2、脱穀
状態:籾
機械:コンバイン
稲から籾を外す
3、乾燥
状態:籾
機械:穀物乾燥機
籾を乾燥させ長期保管可能にする
4、籾摺り
状態:玄米
機械:籾摺機
籾殻を取り外し、玄米の状態にする
5、米選
状態:玄米
機械:米選機
未熟な物を選別し、品質の良い米だけにする
6、精米
状態:米
機械:精米機
玄米の表面を削り取りった物
原因としては穀物乾燥機裏側にある、Vベルトが脱落しており
それを交換することにより復旧した。
Vベルトが脱落した原因の追求と、
広く普及しているはずのVベルトの購入に手間どったので
同じ様な状況、もしくはVベルトについて困っている人の参考になればと
記事をまとめた。
穀物乾燥機【静岡製機製SVC】の状況
静岡製機製『SVC』
症状としては下記の通り
エラー表示:無し
張り込みスクリュー:不動
再起動しても通常通り始動
モーター音は通常通り聞こえる
原因
モーターとプーリーを繋ぐVベルトが脱落していた。
場所
本体裏側のカバーを外した中
カバーは上部、下部の分割式で
蝶ネジボルトで固定されている
対応
取り急ぎそのままVベルトを取り付けて再起動
モータースクリューの動作を確認するが
回転する定期的なタイミングで異音が発生
定期的なタイミングで聞こえる異音と
発生源がプーリーの付近からということで
Vベルトが破損したと仮定し、
新品に交換することを決断する
Vベルトの種類
乾燥機のベルトを取扱説明書で確認
対象は短長の2種類
『A44』
『A71』
※50キロヘルツ、60キロヘルツで1番手違いを使用する
品番の見方
A-71の場合
最初の文字『A』が形状
続く数字『71』が長さであり
長さはインチを表している。
1インチ=25.4mm
もし、ベルトの刻印が消えており
取り扱い説明書を紛失、Webでも探せない、メーカー担当者も捕まらないとなると
形状と長さから品番を求める必要がある。
形状について
A形の場合はJIS規格によると下記の通り
上幅:12.5mm
ベルト厚:9.0mm
長さの測り方について
ベルト内周の中間点に沿って測定
計算式『ベルトの有効ピッチ=軸間距離x2+πxV溝プーリーピッチ系』
※M形の場合のみ外周での計測となる。
コメリWEBサイトがリスト化されていて見やすかったので紹介
コメリWEBサイト Vベルト特集
購入について
Vベルトは『種類が豊富』『静音性に優れる』『低コスト』であり、
自動車、スクーター、農産機械、洗濯機のほか、負荷が軽いものから高いものまで
さまざまな工業機械に広く普及している。
その為、市場(小売店等)でも入手性が良い。
実際に
『小型のホームセンター』
『農業資材専門の小売店』
『大型のホームセンター』
を回ったが、すべての店でVベルト自体の取り扱いはしていたが
困ったことに、A-60以上の長いVベルトの在庫が置いてなかった。
色々回った結果
A-71のVベルトが在庫してあったのは
【プロ向けホームセンター】だった。
豊富な種類の在庫を取り扱っていた。
交換方法について
購入したVベルトを持ち帰り、交換作業を開始
大前提として、作業中に機械が動かないように
主電源OFF、コンセントを抜く等の対策は必要。
作業自体は特に難しくは無いが、
A44→A71の順番でないと交換できない。
その後、機械を再起動した所、
異音は消え、問題は解決した模様。
実際に外してみて
外してみると見事に破損していた。
このことから真の原因は
『Vベルト経年劣化による破損』と思われる
Vベルトの寿命について
Vベルトの寿命を左右する要因は数多く、
負荷の大きさ、回転数、ベルトの長さ、環境温度、
スリップの大小、プーリー直径で大きく変化する為、
寿命を特定することが出来ない。
下記の点に注意し、定期点検をすることが必要かと思う。
・プーリー外周からVベルトがはみ出ているかどうか
・Vベルトのひび割れ、剥離などのゴムの劣化は無いか
右のような状態だとVベルト、もしくはプーリーの交換が必要となる
まとめ
Vベルトの交換は容易で安価
長さにより、売ってない店もあるので注意
Vベルトが日本の1次、2次産業を支えていると言っても過言ではない。
つまり3次産業も支えていることになるので、Vベルトがないと国が成り立たない。
現代はVベルトによって支えられている。
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